2021夏遠征③ 8年を経て彼の地へ
8年前とは違う!?
2013年の7月、なぜか声を掛けてもらったとある遠征。当時は初めてのチョッキ銛&不慣れなボートダイブ&馴染みのないメンバーという三拍子で気持ちに全く余裕がなかったので、貴重な体験だったのにあんまり楽しめなかった思い出。
同行者が「クエ狙い」の中、当時は自分ごときがクエを捕れるわけがないと思いながらも、しょうもないプライドで同行者に「コイツは魚が捕れないヤツだな」と認識されたくもなくて、必死になってスジアラを追い掛けた。
あれから8年…数多の海を経験し、魚突きの練度が高まるほど、この場所にリベンジしたいという思いが募っていた。
近年はクエを意識することも多くなってきて、期待値の高いポイントで潜ることも何度かあったけれど、ことごとく捕れずに今に至る。
今回は8年前から少し成長して「クエを捕りたい」という気持ちで臨んではいるけど、クエへの苦手意識があるせいで、意気込みというよりも祈りに近い。
惜しむらくは、7月というタイミングでは身体が全然仕上がっていないこと。例年はシーズン一番の遠征を9月に組んでいたから、7,8月で潜り込むことで身体を海に慣らしていって9月にベストコンディション(15〜20mで戦える状態)という流れができていたけれど、7月はまだシーズンインしたばかりと言っても過言ではない仕上がって無さ。全然潜れ無さそう!
前回の続き
まずは準備
午前8時頃に到着。初めに港に入り、堤防にキャンプ道具等の荷物を上げておく。干満の差が大きいから、満潮に近い今の時間帯だと船と堤防の高低差が少なくて荷物が上げやすいとのこと。なるほど。
荷物を上げたら、さっそく潜るための着替えや準備に取り掛かる。ずっと心待ちにしていたはずなのに、いざその時になってみると心の準備ができていない感じで、着替えたいような着替えたく無いような…落ち着かない気持ち。
当然、「心の準備が…」なんて言ってる暇があるはずもなく、着々と準備を進める同行者に遅れないよう支度をする。
銛ヨシ!フィンよし!GoProヨシ!支度が整ったので、再び船に乗り込む。
ウェットを着たら暑くて、すぐにでも海に入りたくなった。
ポイントその1
8年前には潜っていないポイント。
同行者(通称:テル)が様子見でドボン。
途端に流されて船体にゴツン!
…よし、撤収!
ポイントその2
8年前、かなり評判が良かったポイント。沖にポツンとある瀬で、瀬の周りに魚影が濃いゾーンがあるらしい。(当時、自分は潜れなかったから伝聞)
今回潜る中でもかなり期待値が高いポイントだけれど、この日の初ダイブだから全然潜れないことが目に見えていて、もう潜っちゃうことが少し残念だった。
私はエントリーしてから30分くらい経たないと(10潜りくらいしないと)調子が乗ってこなくて全然潜れない体質。ボートダイブは基本的に初っ端から本番だから、自分のペースが整えにくくて苦手です。
ボートからは一人ずつダイブしていく。ダイブ順は概ね年功序列(次のポイントでは順を逆にしたりする)で、私がメンバーの中で最年少おじさんなので、先にダイブしていく同行者に銛とフロートを投げ渡していく役割。さっそくハヂメさんのフロートラインが絡まってモタモタ…スミマセン!
ひと通り送り出したので、船上から先行しているメンバーの様子を見てみると…フロートラインが同じ方向に一直線に伸びていた。明らかに超流れている。
でも、一級ポイントだからか誰も上がろうとせずに一生懸命に泳いでいる。自分も行かなくては…と、船長に道具を投げてもらってドボン。
…めっちゃ流れている!!
パワー8割ぐらいの漕ぎでその場に止まっているのがやっと。短距離ダッシュのような漕ぎでようやくじわじわと前進できる。
とりあえず、瀬周りの地形を確認すべく、ガン漕ぎして瀬に近付いていくと、瀬の真ん中が谷のようになったところをハヂメさんが潜っいた。
瀬の沖側にテルさん、手前にマヤカタさんが陣取っていたので、自分は岸側から回ってみようと思い、ダッシュを続ける。
息が上がったくらいのタイミングでようやく瀬の岸側にたどり着いたら、その先が落ち込んでいて良さそうだったのでもう一踏ん張り。
瀬を超えた先は、瀬が崖のように落ち込んだ下に大きな岩がゴロゴロとしてるゾーンで、たくさんのメジナが泳いでいた。直感的に、事前に聞いていた魚影濃いゾーンはここだと思った。
ゾーンを見下ろせる位置を保持しつつ、息を整えようとするも、流れが速過ぎてとても息が整う状況ではない。
幸いにも?眼下にめぼしい魚がいないため、潜れないことの歯痒さはなかった。
試しに一度潜ってみようとジャックナイフするやいなや、流れで瀬の側面に押し付けられる。瀬に張り付いたまま岩を掴んでちょっとずつ潜るも、息が続く訳がなく、すぐに浮上。浮上の垂直方向への距離よりも、その間に流される水平方向への距離が長い。
その後も、魚影濃いゾーンへの潜行を何度か試みたものの、とても魚突きができる状況ではない。
ふと振り返ったらマヤカタさんが船に上がったのを見えたので、私も即エキジットした。他の同行者も続けてエキジット。
「「「流れが速すぎるね!」」」
ポイントその3
起伏がないエリアに大きなゴロタ岩が転がっているポイント。先の2ポイントの流れが嘘だったかのように全く流れていないので、ウォーミングアップにはちょうど良くホッとする。
ただし、魚影は薄い。(8年前はここでスジアラを捕った気がする…)
魚の気配は全く無いけれど、ウォーミングアップがてら−15mラインで空潜りを繰り返していたら、中層からスーッと近付いてくる灰色の魚が。
アオチビキは憧れの魚。普段の遠征範囲ではあまり出会えないし、出会えても全然寄れなくて難しいイメージ。今回のように中層で遭遇したシチュエーションではちょっとでも追う素振りを見せるとすぐに去ってしまう。潜ってガン待ちしていると寄ってくるらしいけど、まだ本調子でないから海底に着底して待てる余裕がない。
とりあえずダメ元で、銛を引きつつゆっくり近寄ってみると…
なんと!アオチビキもこっちへ向かってきた!チャンス!
アオチビキは右からこちらへ向かってきて、ちょうど私の目の前を通り過ぎようというところで離れるようにターンしたので、後頭部を目掛けて…
発射!
ただただ、外しました。
放った銛はアオチビキの左側に抜けていき、驚いたアオチビキは身を翻してぴゅーっと逃げていきました。
これまでアオチビキが射程に入るシチュエーションさえなくて、この絶好のチャンスを逃してしまったのでかなり悔しかった。
銛を持っていない同行者がプカプカ…と、いうことは?
アオチビキを逃してしょぼんとしながら泳いでいたら、眼下の岩下からにょきっと出ている銛が見えたので、海面を見るとテルさんがぷかぷか。
話を聞いてみると、どうやらクエを突いて、岩下に入られたらしい。
私はめぼしい魚を見ていなかっただけに、クエがいたことに驚き。よーし、私も頑張るぞ〜とはならずに、どうせ魚影が薄いポイントだったので、テルさんの回収劇を観察することにした。
岩の右から入ったクエが左の奥に突っ込んでいて動かないらしい。
うんともすんとも言わないようだ。
クエの頭が見えたそうで、とりあえずナイフで締めるようです。
かなりもぞもぞしていたけど、回収はできなかったようで、テルさんの浮上を見送ってからクエの様子を見てみると…
テルさんの試行錯誤でチョッキが外れていたみたい。
すんなり回収できたクエを右手に持ちつつ、岩の反対側へ回って…
浮上する。
自分の突いた魚を回収する時って興奮して息が持たないけど、人の回収は他人事だからかかなり余裕を持って見ていられる。
テルさんは「もうワントライしなきゃ回収できないけど、みんなもう上がっていたから待たせるのは忍びない…」と思っていたそうで、予想外に回収できたことにホッとした様子でした。
私もクエが捕りたい!
〜つづく〜